2024年10月3日
会員著書案内著者名 | 書名 | 出版社 | 出版年 |
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日本映画学会監修/杉野健太郎責任編集 | 『アメリカ映画史入門』 | 三修社 | 2024年 |
【梗概】
本邦初のアメリカ映画史の本格的概説書。
19世紀末に映画が誕生してからゆうに1世紀を超え、映画が専用映画館で上映され、テレビで放映され、ビデオや DVD で視聴されるようになり、文化の中で大きな地位を占めるようになって久しい。アメリカでは 1960 年代には映画学は積極的に高等教育に取り入れられはじめ、大学の学術的制度再編成に多大な影響を与えた。その後、アメリカおよびイギリス等を含む英語圏の映画研究は大きな成果を上げつづけている。こなた日本の国立大学でも 1990 年代に入ってようやく映画学で博士号が取得できる制度が実現したと加藤幹郎(1957-2020)が書いているように、日本でも映画の学術的研究が本格的に始まって30年以上の時間が経過した。こういった状況下にあって、アメリカ映画研究の基盤を作るためには主に大学生向けの概説書が必要だと考えるに至った。本書は、日本でアメリカ映画研究あるいは学習を志す人のために書かれた。
第I部では、各章冒頭で、各時代の歴史や出来事を概観したうえで、その時代の映画監督と作品を映画史的意義とともに紹介する。映画監督82人は、来歴、代表作、評価などを概説。映画作品63本は、あらすじ、作品の特徴と意義をコンパクトにまとめた。第II部では、階級、人種・エスニシティ、スター、ジャンル、宗教、アダプテーションなど、映画研究の主要テーマと研究方法を解説した。論文やレポート執筆の手引としても利用できる。また、初学者の理解に資するために、アメリカ映画興行収入ランキング、映画製作倫理規定、文献資料案内、映画用語集といった資料も付録している。
時代概説を通読し、映画監督や映画の項目を読み、実際に映画を見て考えて自らお考えいただきたい。日本のアメリカ映画研究の水先案内の役割を本書がいささかなりとも果たすことができれば幸いである。
【目次】
はしがき
第Ⅰ部 アメリカ映画の歴史
1章 映画の誕生とサイレント時代のアメリカ映画 1895-1927
2章 トーキーの誕生から第二次世界大戦期 1927-1948
3章 第二次世界大戦後のハリウッド 1948-1960
4章 ハリウッドの変革期 1960-1967
5章 ニュー・ハリウッド 1967-1980
6章 ニュー・ニュー・ハリウッド 1980-2000
7章 21世紀のアメリカ映画 2001-
第Ⅱ部 アメリカ映画研究の主要テーマと研究方法
階級/人種・エスニシティ/ジェンダー/セクシュアリティ/宗教/家族/戦争/スター/メディアとしての映画/映画の語り/ジャンル/ドキュメンタリー映画/アニメーション/アダプテーション
巻末資料
・レポート・卒論の書き方
・アメリカ合衆国基礎データ/年表/大統領一覧/映画ランキング/アカデミー作品賞歴代受賞作品/アメリカ映画興行収入トップ50/
アメリカの映画館/テレビ所有率・ケーブルテレビ加入率/レジェンド俳優/ASLの年代推移
・映画製作倫理規定
・さらに学びたい人のための文献資料案内
・映画用語集